質疑応答

第2回ポイントオブケア超音波研修会にて皆様からいただいた質問を講師にご回答いただきました。
ご参考ください。

時に肋軟骨炎を疑う患者さんが来られますが、エコーで肋軟骨炎を疑う所見などがありましたらご教示ください。

肋軟骨炎は筋骨格系由来の胸痛のうち、局所の腫脹を伴わず、圧痛が肋骨肋軟骨接合部、胸肋関節に限局している場合に疑うことになると思います。成書では肋軟骨炎に対してX線写真、CT、MRI、骨シンチなどの画像検査では特異的な所見は得られず、文献的にも超音波検査での有用な所見の記載は見当たりませんでした。ただ、大事なのはその圧痛部位に肋骨骨折、肋軟骨骨折がないか除外診断としてエコーを利用することは大事だと思います。認知症の方で実は外傷のエピソードがあったとか、喧嘩した事実を隠していたとか、外傷はなかったが夜間に遷延性咳嗽が続いていたとか、エコーをしながらの追加問診で明らかになった事実もありました。一方局所の腫脹、発赤等の炎症所見を伴う胸肋関節炎、胸鎖関節炎の経験はあり、このような方はエコー上軟骨部の腫脹、内部の血流信号亢進、周囲の脂肪織のエコー輝度上昇などがみられます。血清反応陰性の脊椎関節炎、SAPHO症候群、Tieze症候群などでみられる所見ですし、感染症、悪性腫瘍を示唆する場合もあるので身体所見と合わせてエコーを行うことは有用だと思います。

穿刺による感染は大丈夫でしょうか?

エコーガイド下で施行する場合、そこは必ず注意が必要です。そこを注意していれば自身の経験を含めて周囲でエコーガイド下で穿刺を行っている方でも、関節の感染を医原性で引き起こしたという例は幸いまだ経験ありません。頻度としてはJAMAに報告されている文献によると、ステロイド注射後の1万例に4例。膝関節内視鏡術後の1万例に14例とされています。(1)リスクを正しく恐れ、安全に施行することが大切だと感じています。あとは蜂窩織炎を疑っている場合や、人工関節が入っている場合は穿刺することは避けることべきと考えます。1. Catherine J Mathews VCW, Adrian Jones, Max Field, Gerald Coakley. Bacterial septic arthritis in adults. Lancet. 2010;375:846-55.(Lancet誌による成人の細菌性化膿性関節炎のセミナー。疫学から診断、治療についてまとまった解説あり。)

頸部リンパ節腫大についてですが、1cm以上であればエコー上内部構造や形態に異常がないものであっても、もれなく専門医への紹介を行った方がよろしいでしょうか。耳鼻科専門医へ紹介することが多いのですが、反応性といわれ帰されることがしばしばで判断に迷っています。コロナワクチン後に腋窩や鎖骨上、頸部リンパ節腫大を認める患者さんが多く来院されるのですが、そのような場合ではどのように対応する方が望ましいでしょうか。

「長径」が1㎝の程度の正常リンパ節は頸部には多数あります。一方「厚み」が1㎝あればかなり腫大したリンパ節といえますので、3方向測定で立体的に考えリンパ節の厚みを正しく観察すること、たとえ「厚み」が1㎝以上でもリンパ節の内部構造が正常であれば。特に病的なリンパ節腫大として取り上げるに次要性はありません。しかし、リンパ節内のごく一部分だけに存在する異常所見や一見性状構造のまま腫大するリンパ節の異常を見逃さないことも大事ですので、明らかに正常リンパ節と言い切れない場合は、数日~1週間程後の再検も有用です。1㎝未満でも明らかにリンパ節の構造が異常の場合もありますので、リンパ節の異常はサイズだけで決められるものではないという認識も必要です。コロナワクチン筋注後のリンパ節は、反応性腫大としてリンパ節の構造は保たれながら、リンパ節が複数連なり、時には重なりあって腫大しています。三角筋に接種した場合は腋窩、鎖骨下から下頸部付近に見られます。これらのリンパ節も抗体産生や細胞性免疫の形成に役立っているとされていますので、3週間程度は腫大が続くとされています。対応として必要なことは、癌の転移や悪性リンパ背湯などの悪性リンパ節腫脹ではないことを超音波像から冷静に判断していくことです。

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